強い度数のメガネレンズをキレイに薄くする6つの方法をご紹介

レンズをキレイに薄くする6つの方法

強度の近視の方や遠視の方、また遠視の方の老眼鏡など、度数が強くなるほどにメガネのレンズは厚く仕上がってしまいます。
近視の方がご使用されるマイナスレンズの場合は、レンズの端の厚みが人から見られる時に気になる、
遠視や老眼鏡でプラスレンズをご使用の場合、真ん中の厚みが出てしまってメガネ自体が重く、掛けているのが快適ではない、
などのご相談を受けることが度々あります。

そんなお悩みをできる限り解消するためには、メガネのフレーム選びやレンズの選択を適切にしていく事が必要となってきます。
レンズを薄くキレイに作るためのポイントとなる点を6つご紹介いたします。
ぜひメガネ作成の参考にお役立てください。

1 メガネフレームはレンズのサイズが小さいものを選ぶ

メガネのレンズを薄く仕上げていくのに、実は一番重要なのがフレームの選択なのです。
メガネレンズはほとんどのものが縦と横の長さを比べると横幅のほうが大きいです。
なので特にメガネフレームのレンズサイズの横幅に注目してください。
レンズの横幅が大きければ大きいほどレンズの厚みが増えてしまいます。

マイナスレンズ厚み

マイナスレンズ厚み画像

近視の方が使用するマイナスレンズは中心が薄く、そこから離れれば離れるほどに厚みが増していきます。
つまり単純に大きなレンズになればなるほど、端の厚みが大きくなっていってしまいます。

プラスレンズ厚み

プラスレンズ厚み画像

遠視の方や老眼鏡などに使用するプラスレンズの場合、レンズの中心が一番厚く、中心から離れるほどに厚みは薄くなっていきます。
大きなメガネでも端は薄くなるのですが、厚みの多い面積が増える分重みは増してしまいます。

目幅に合ったフレームの選択が大切

レンズの構造上小さなフレームほど厚みや重さを抑えられるのはご理解いただけたかと思います。
しかし、顔幅や目幅に合わないほどに小さなメガネフレームを選んでしまうと、窮屈だったり見栄えが良くなかったり、
フレーム自体にも余計な負担が掛かってしまって壊れやすくなってしまう危険
もあります。

ご自身の顔幅や目幅に合ったフレームを選ぶことが、掛け心地や見栄えの良さ、厚みや重みなども最適化できるフレーム選択となります。

より薄く仕上げていくには、

メガネサイズ参考画像

目がちょうどレンズの中心にくるフレームサイズのものが最適です。
ヨロイの部分を長くとったデザインでフレームの全体幅を大きくとったフレームだと、レンズ幅は小さくてもゆったり掛けることができるのでおすすめです。

2 レンズは屈折率の高いものほど薄く仕上がる

レンズにはそれぞれ素材別に屈折率というものが存在しています。
光が物質を通る時にどれだけ曲がるかを数値化したもので、屈折率の数値が大きいものほど薄型に仕上がるレンズとなっています。
当店でメインでご紹介してるHOYA製のプラスチックレンズでは、レンズのタイプにもよりますが屈折率1.5のスタンダードなタイプから、
屈折率1.74のHOYA最薄両面非球面レンズまで様々なレンズが用意されています。
それぞれの屈折率別の厚みを比べてみましょう。

屈折率1.5非球面レンズ

屈折率1.5非球面レンズ

こちらは屈折率1.5のスタンダードなタイプのレンズにて、近視が-6.00で作った場合の厚みです。
目幅やフレームのサイズにもよって厚みはもちろん変わってきますが、緑の線のところで6.7mmほどの厚みになっています。

屈折率1.74非球面レンズ

屈折率1.74脾胃球面レンズ

こちらは屈折率1.74のHOYA最薄レンズにて上の図と同じ度数で作った場合です。
同じ緑の線の所で厚みはかなり薄くなり、4.6mmほどに抑えることが出来ます。
どちらも設計は1番主流となっている片面非球面レンズです。

屈折率の違いによる厚みの変化は、度数が強いほど効果が出てきます。
度数が-3.00以下などあまり強くないのに、1.74などの超高屈折のレンズを選択すると、厚みが大して変わらない上に比重が増すので、かえって重く仕上がってしまいます。
薄く・軽く仕上げるにはフレームサイズ同様適切な選択が必要となります。

どの屈折率のレンズだとどのくらいの厚みが出るのか、レンズ選択の際にぜひスタッフにご相談ください。

一番薄いメガネレンズについてはこちらも御覧ください

3 レンズの設計によって薄く仕上げる

遠くを見るだけの近視や遠視のメガネや、近くを見るだけの老眼鏡など単焦点レンズと呼ばれるレンズにも様々な設計があります。
主に見え方の快適さに関わる部分なのですが、厚みも変化していきます
それぞれの単焦点レンズでの設計による厚みと見え方の快適さの違いもご紹介いたします。

球面レンズ

従来型の球面レンズと呼ばれる設計です。
レンズ自体に自然なカーブがあるため、度数が強くない場合にはメガネとして自然な形に仕上がります。
しかし度数が強くなっていくと、カーブが強いためマイナスレンズの場合端の厚みが大きく増してしまいます。
プラスレンズだと中心の厚みやぽっこりとした膨らみが気になってしまいます。

片面非球面レンズ

今1番主流となっているのはこちらの片面非球面タイプのレンズです。
球面レンズに比べてレンズがフラットな設計となっているので、プラスレンズの真ん中の膨らみを抑え、薄く仕上げることができます。
また、マイナスレンズでも端の厚みを抑えることができるので、非球面で屈折率の高いレンズを選択していただく事が薄く仕上げる事に繋がります。
度数が強いと起こりやすいレンズ周辺部の視野の歪みも、非球面レンズの方が球面レンズよりも少なくなっています。

両面非球面レンズ

片面非球面レンズよりもさらに視野を広く確保できるのが両面非球面レンズです。
よりフラットになった形状により非球面レンズよりもさらに薄く仕上がります。
どちらかといえば強い度数の方のレンズの端に起こる歪みを、なるべく減らすためのレンズとなっています。
特に乱視の度数が強い方にもおすすめです。
両面非球面レンズは、強度の近視の方が気になる顔の輪郭の凹みを抑える効果もあります。
厚みも度数によっては片面非球面よりも若干薄く仕上がります。

4 プラスレンズを更に薄く仕上げるコンピュータ加工

当店ではHOYAのトレーサーシステムを採用しているため、コンピュータによる厚みの最適化が可能となっています。
レンズを薄くするポイントその1、その2、その3でご紹介したフレームとレンズを使ってさらに薄く仕上げていきます。
通常仕立てによるレンズの厚みだと、

通常仕立て

通常仕立て画像

このようにレンズをカットしていくため、小さなフレームを選んでも不必要なレンズの厚みが残ってしまいます。

しかしHOYAのHELP システムによる薄型仕上げを行うと、

薄型仕上げ

薄型仕上げ画像

上の通常仕立てのメガネと同度数、同レンズを同フレームに入れてもこの様に薄く仕上げることが出来ます。
レンズの厚みが最適化されるので、重量的にも軽減することができます。
見た目にもスッキリとした仕上がりになるので、ある程度の度数以上のプラスレンズには必須クラスでオススメしています。

5 強い近視のレンズの厚みを目立ちにくくする面取りと鏡面加工

デザインが気に入ったのがちょっと大きめなメガネフレームだったから諦めてしまう……。
レンズの厚みが目立つから縁無しメガネや、ナイロールタイプは避けてしまう……。
度数の強い方だとそんな事もあるかと思います。

そんなお悩みを解消するための加工も行っております。

けずったまま

メガネレンズは普通に削った状態そのままだと、この様に横から厚みが丸わかりになります。
少し白く濁った半透明の様な感じです。

面取り部鏡面加工

面取り部鏡面加工

厚みを目立ちにくくするように、角の面取りを多めにしてなおかつそこに鏡面加工をします。
磨きを入れてツヤと透明度が増すことで厚みが軽減されたように見えます。

面取り多め全体鏡面加工

鏡面加工大

最大限まで角を落として、レンズコバの部分全体に磨きを掛けるとこのようになります。
厚みはだいぶ目立ちにくくなるのと、光の反射で高級感も増します。

強度の近視だけど、横幅の大きなフレームを使いたい方や、縁無しメガネでレンズのコバを目立たせたくない方。
高級感あるレンズに仕上げたい方にオススメです。

6 厚みが目立ちにくいメガネフレームを選ぶ

レンズ自体の厚みを抑えるだけではなく、メガネフレームで厚いレンズを隠してしまう方法があります。
一時期大流行していた黒縁フレームや、最近雑誌などでも多く取り上げられているクラシックなセルフレームなどです。

セルフレーム

セルフレーム厚み

フレーム自体の厚みが5mmほどあるので、ある程度の厚さのレンズであれば分からなくなります
レンズの端の厚みが6mm近くある度数の場合でも、この様にフレームから出る部分は少量になるため気になりにくいです。

クラシックフレーム

クラシックフレーム画像

クラシカルなデザインのフレームはレンズサイズが小さいものが多いです。
また、四角いレンズシェイプより丸い方が角もなく、レンズの厚みも軽減されます。

プラスチックのメガネフレームには、
レンズを囲むリムの部分に厚みがあって、横から見られたときにレンズの厚みが気にならない。
テンプルが太くて、横からレンズ自体が見えにくい。
フレームの方が目立っているので、レンズの厚みが気にならない。

などの強度数の方も安心して使っていただけるメリットがあります。

デメリットとしてはチタン製のメタルフレームと比べると重量が増す点でしょうか。
軽くしたいというご要望の場合には、小さめなチタン製のフレームをオススメいたします。

以上、強い度数のメガネレンズをキレイに薄くする6つの方法をご紹介いたしました。
メガネフレーム選びの参考になれば幸いです。

番外編 レンズの薄さを確認してからの作製

度数に対して、または顔幅や目幅に対して最適なレンズ選択、フレーム選択はなかなか難しいことでもあります。
当店ではお客様に目で見て分かるようにHOYAのiPadアプリ【コバ厚計算機】による簡易的な厚みの測定や、【HOYAトレーサーシステム】による正確な厚みの測定も行っています。
もちろん厚みの測定は無料で行っていますので、ご購入前にお気軽にご相談くださいませ。

HOYAのiPadアプリ[コバ厚計算機]

IPADアプリ

レンズ度数と瞳孔間距離、レンズのサイズを入力して各レンズ種ごとの厚みが簡易的に表示されます。
屈折率1.6と1.67どちらにしようか?などとお迷いの時の参考になるかと思います。

HOYAトレーサーシステム

トレース画面

iPadアプリのコバ厚計算機より詳細な厚みを確認する際にはこちらを使用します。
レンズの厚さだけでなく素材ごとの重量、レンズのどこに厚いところがくるのかも確認できます。

4つめの方法でご紹介したコンピュータの薄型加工による効果も確認できます。

メガネは度数に合わせたレンズだけではなく、フレーム選びも重要

以上が強い度数のメガネレンズをキレイに薄くする6つの方法となります。

いちばん大事なのはフレーム選択、そしてそれをアドバイスしてくれる専門家でしょうか。
なかなか最適なフレーム選びは難しいものです。

また、厚みだけではなく重さにも関わるレンズ選択もとても大事です。

レンズを出来るだけ薄く仕上げたい方や、レンズの重さを出来るだけ軽くしたい方のフレーム・レンズ選びの参考になるかと思います。

レンズ選び・フレーム選びにお迷いの方、ぜひご来店の上ご相談ください。