一番薄いメガネレンズについて
レンズを選ぶ時に薄さは選択肢の一つとして重要なファクターでもあります。
見た目にも影響してきますし、もちろんメガネの重さにも影響します。
度数が強い方ほどレンズを薄く作りたいというご希望があるのではないでしょうか。
では今発売されているレンズで一番薄いものはどんなものなのか?ご紹介していきます。
現在一番薄いメガネレンズは屈折率1.90のガラスレンズです
※画像はイメージです
メガネレンズの薄さの基準となるのは、レンズの素材による屈折率の違いになります。
屈折率とは光が物質を通る際にどれだけ光の進行方向が曲がるかといった数値です。
メガネレンズは近視であったり遠視であったり、見たいものにピントを合わせるためにレンズで光を曲げます。
度数が強い=曲げる量を増やす必要があります。
レンズの仕組みとして前面のカーブと後面のカーブの差で光を曲げます。
曲げる量を増やす必要がある、ということはカーブの差を増やす必要があるのでレンズの厚みが増えていきます。
その厚みを抑えるためには元々屈折率の高い素材を使ったレンズが必要となる。
というわけです。
これが薄型レンズや超薄型レンズですね。
レンズメーカーで扱っている一番標準的なレンズは屈折率1.5のプラスチックレンズです。
レンズメーカーHOYAの場合
プラスチックレンズだと
ガラスレンズだと
以上のような屈折率のレンズが販売されています。
現在販売されているレンズではガラスの屈折率約1.90のレンズが最も薄いメガネレンズとなります。
NIPPON LENSの【P1スーパーAS】は世界最薄型のガラス素材1.90を使用した非球面のガラスレンズとなっています。
ちなみにこの屈折率ですが、真空中が1.0、水は約1.33です。
ダイヤモンドは約2.4と非常に高い屈折率なので、ダイヤモンドでレンズを作ったら世界で一番薄いレンズになるかもしれません。
ガラスレンズとプラスチックレンズはどうちがうのか?
現在ガラスのレンズを使用されている方は、当店での販売状況だと5%もいらっしゃいません。
95%以上の方がプラスチックのレンズを使用されているということですね。
一番薄くなるのがガラスのレンズならなぜそれを使用している人が少ないのか。
大きな理由の一つとしては、ガラスのレンズは重いということが挙げられます。
極端に小さなメガネフレームを使用した場合は別として、一般的なサイズのメガネの場合、レンズの重量は倍くらいの差になります。
軽いメガネを好まれる事が多い昨今のメガネ事情としてはあまり好まれない素材となっています。
また、ガラスレンズなので落としてしまうと、もちろん割れてしまうこともあります。
レンズ表面の小キズや温度変化に対してはガラスの方が強度が高いので、顕微鏡を扱う方や高温下での作業をされる方などでお仕事用にご購入される方もいらっしゃいます。
通常使用に関してはメリット・デメリットありますがプラスチックレンズがシェアのほとんどを占めているのが現状です。
最近ではガラスレンズ自体そもそも扱っていないお店も多いようです。
屈折率の高さだけでなく、最適なレンズ選びが必要です
現在主流となっているプラスチックのメガネレンズで最も屈折率の高いものは、東海光学の【ベルーナZX-MU】の1.76です。
厚みを抑えるという点で、プラスチックレンズの中で最も効果の高いものとなります。
ただ、注意点としてはどんな度数の人でも、どんなフレームでも高い屈折率のレンズを選択すれば良いものが出来上がるというわけではありません。
メガネレンズの素材には屈折率とは別に【アッベ数】と【比重】というものがあります。
屈折率 | 比重 | アッベ数 |
---|---|---|
1.76 | 1.49 | 30 |
1.74 | 1.47 | 31 |
1.7 | 1.41 | 36 |
1.67 | 1.37 | 31 |
1.6 | 1.32 | 40 |
1.5 | 1.32 | 58 |
屈折率 | 比重 | アッベ数 |
---|---|---|
1.90 | 3.89 | 30 |
1.892 | 3.99 | 30.4 |
1.807 | 3.65 | 34.4 |
1.705 | 3.21 | 41.4 |
1.604 | 2.63 | 41.2 |
※代表的な素材の表となります。同屈折率のレンズでもメーカーにより異なる場合があります。
アッベ数は見え方に影響してきます
アッベ数が低くなると色にじみが強くなっていくといわれています。
ガラスのレンズはアッベ数が比較的高いので、ガラスレンズから高屈折率のプラスチックレンズに変更した際に、気になる場合があります。
比重は素材の重さです
比重が高いほど同じ大きさ、厚みのレンズの場合重くなっていきます。
先程ガラスレンズの方が重くなるという事を話しましたが、これもガラスの方が比重が高いからです。
上の表でも薄型の素材になればなるほど、比重が増し、アッベ数が低くなっていくのが分かるかと思います。
弱度数の方が超高屈折のレンズを選択すると、レンズの薄さが対して変わらないのに重さが増し、色にじみが増えてしまうというデメリットばかりを被ることになります。
屈折率1.74や1.76といった超高屈折素材のレンズは強度数といわれる-6.00D以上の方におすすめです。
また、素材によってレンズの強度も変わってきます。
上記の1.76素材や一番標準の1.5素材などは、レンズに穴を開けて加工する縁無しのメガネフレームや、レンズに溝を掘って加工するナイロールタイプには不向きです。
ガラスのレンズも同様に強度的な問題から、当店ではナイロールタイプや縁無しタイプでのご注文はお断りしております。
フチのぐるっとあるフルリムタイプをオススメしています。
フチなしのフレームにはプラスチックの1.6素材や1.67素材、ナイロールにも同様の素材が最適です。
レンズをキレイに薄く作る方法
メガネの出来上がりのレンズの厚みには素材自体の屈折率以外にも様々な要因が関係してきます。
目幅だったり、フレームのサイズだったり……また、見せ方で薄く見せる方法もあります。
こちらの記事では強い度数のレンズをきれいに薄くする方法をご紹介しています。
ぜひ合わせてご覧くださいませ。